生まれたばかりの星団
NGC3603
2010_07_04
 NGC 3603は、りゅうこつ座の方向約2万光年の距離にある星雲だ。天の川銀河のりゅうこつ腕(渦状の腕)の中にあり,そこでは活発な星形成が進んでいる。
 HSTがとらえた画像には、大量のちりとガスに囲まれた若い星団が写し出されている。
 星団に存在する高温の若い星からは,高速の太陽風が吹き,強烈な紫外線が放射され,星団の周りに大きな泡のような構造を作っている。放射はその周囲の星雲中を伝わり,数光年もの長さに伸びる巨大な濃いガスの柱を削っている。このようなガスの柱には,生まれたばかりの星が存在していると考えられる。
 また,画像中右上には,「ボックグロビュール」と呼ばれる暗黒星雲が小さくとらえられている。この雲を形成しているちりやガスの質量は,太陽の10倍から50倍ほどもある。ボックグロビュールは,昆虫のまゆのようなものである。画像にとらえられているボックグロビュールの中でも,すでに新しい星の形成が始まっているかもしれない。
 
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